禁煙ブームは如何なものか

気象予報の天気図を見ると、日本列島に低気圧が押し寄せ、すっかり寒気に覆われる季節となりました。年の瀬に向かって益々、気温が低くなっていきますので、体調には共々気をつけたいものです。

さて、本稿では「喫煙」について書き記そうと思います。昨今では(語弊があるかもしれませんが)禁煙ブームと謳われるように、喫煙者が禁煙を始めるケースを見聞します。日本たばこ産業の調査に依りますと、成人男性の平均喫煙率は平成26年30.3%と、10年前の平成16年46.9%から16.6ポイントも減少しています。ピーク時の1966年の83.7%という数字が信じられなくなるほどの数字です。成人女性の平均喫煙率も、女性は男性に比べて喫煙者が少ないため横ばいに見えますが、ここ10年間で13.2%から9.8%に減っています。なお、この数字はある年の規制強化で急減したのではなく、年々喫煙者が減少してきた結果であります。

十数年前であれば、路上や飲食店、映画館など至る所で喫煙は認可されていました。ところが、いまとなっては、そうした公共の場では禁煙を求められるようになっており、自由にタバコを吸える場所は自宅だけでしょう。副流煙や受動喫煙といった言葉もそれ程聞かなくなった気がします。どうやらこうした禁煙化の動きも影響しているようです。

また、タバコの価格が上がったことも一因でしょう。もとよりタバコにはたばこ税が課せられていて、消費税と合わせて価格の6割以上が租税となっています。そのため税制改正による価格の変動も起きやすく、賃金の増減に関係なく、タバコの価格上昇が家計を圧迫し、禁煙せざるを得ない状況になってしまうこともあるのです。

そして、禁煙を決心する最も大きな要因とされるのが、健康に対する影響です。喫煙者では年を重ねて、体の変化や不自由さを感じてから、禁煙をする方が多いようです。タバコが喉や肺などの臓器に影響を及ぼす有害性は周知されていますが、効用がある可能性も示されています。タバコの喫煙によって、精神上リラックスできることや、発想の転換を促すこともときにはあるようです。また、痴ほう症の予防になるとも言われております。ただ単純にストレスの捌け口とは考えられていないようです。

公共の福祉という大義のために、何かと規制が推進されて、喫煙者を隅に追いやる禁煙ブームが掲げられてきたわけですが、必ずしも規制することが正しいとは言えないと思います。タバコに関して言えば、喫煙者、禁煙者、非喫煙者の三者の立場を理解すべきです。喫煙者が大多数を占めた1960年代は喫煙者を当然とする社会とし、非喫煙者が多数派となった今現在は喫煙者を排除する社会としてはいけません。具体的な解決策を出すことは難しいのかもしれないですが、物事を0か1で考えるのではなく、両者にとって好ましい状況が生まれるように苦慮し尽くすことが必要です。